美人ウェイトレス・サイエラの依頼
彷徨う階段亭に行ってみると、マスターのグリナードさんに絡まれちゃった。
四使徒をすべて倒したことで、大喜びしてくれてるみたい。
ここまでベタベタに褒められると、うれしい反面なんか照れちゃうねw
アルバートを除く第一世界の光の戦士たちが、罪喰いと化した存在。
ディカイオシュネー(ブランデン)、アンドレイア(レンダ・レイ)、プロネーシス(ナイルベルト)、ソープロシュネー(ラミット)の計4体。
マスターが罪喰いを追った旅の話を聞かせて欲しいというので、これまでのお話をかいつまんで説明。
……今、この世界の光の戦士たちは「大罪人」と呼ばれている。
だけどこうしてマスターがわかってくれたように、いつかみんなが真実を知ってくれたらいいなって思うんだ^^
とかなんとか話をしていたら、この彷徨う階段亭のウェイトレスであるサイエラに声をかけられたよ。
聞いて欲しい話ってなんだろ?
あちらのお客様からです、ってお酒の差し入れならいつでも大歓迎だよ←
え なんかこわい
普通に考えて、酒場で給仕係をやっている人が、「存在してはならない悪しき存在」とかいうヤバい話するかな??
この人が冒険者だっていうならまだわかるけど……すごいゾワッとしてしまった。
うに、怖い話にめっぽう弱いからこれだけでチョコボ肌になるw
何はともあれ、天蓋の間に呼び出されたのでゴー。
いささか怪しい感じもするけど、悪しき存在とやらの話も聞かずにほったらかしってわけにはいかないからね。
体育館裏に呼び出されて、怖い先輩から御指導を頂く……みたいな展開にならないといいけど。。
「テメー英雄とか言われて最近調子乗ってんじゃん」みたいな←
「悪しき存在」とは四使徒が生まれる要因となった人物である。
サイエラが酒場で働いていたのは、この一連の事件に終止符を打つため。
酒場に集う者たちの中から四使徒を討伐しうる実力を持った人材を探し出し、賞金稼ぎたちに紹介していたのだ。
そしてサイエラは既に、その「悪しき存在」の正体にも目星がついているんだって。
依頼っていうのは、その正体を追う旅に同行して欲しいってことなのかな?
もちろんそれは構わないんだけど……サイエラと話していると、なぜか胸がドキドキする。
(※百合ではない)
彼女の核心に触れるようで、実は煙に巻いているだけのような話し方とか……なんというか、不気味なんだよね。
それに、うには何か大切なことを忘れているような気がする。
このドキドキは、それに対する警鐘なのかもしれない。
足跡を辿って
コルシア島の「偏屈者の小屋」でサイエラと待ち合わせ。
一緒に旅に出るのに現地集合、ってなかなか斬新w
ここはある意味において、第一世界の「光の戦士」たちのはじまりの場所──
冒険者アルバートと、癒し手ラミットが出会った場所である。
はじめは一介の冒険者に過ぎなかった彼らは、その旅の途中で放浪の騎士ブランデン、森の狩人レンダ・レイを仲間に加えていった。
そしてその後に加わったのは、エルフ族の女剣士シルヴァ。
彼女は、魔道士ナイルベルトよりも先にアルバート一行に加わっていたのである。
『何かが引っかかりませんか?
大罪人「光の戦士たち」は、ぜんぶで5人のはず』
……そうだ。
それに、アルバート以外の4人は四使徒と化している。
同じく旅の仲間であったはずのシルヴァだけが、なぜ罪喰い化を免れたのか。それはきっと……
『彼女こそが「すべての元凶」……
獅子身中の虫だったのです』
……胸がドキドキしている。
にわかに頭に浮かんだのは、我ながら信じられない……信じたくもない、恐ろしい考えだ。
だけどそれが真相ならば、ピッタリと嵌るパズルのピースのように、今までの不可解なことが納得できてしまうような気がする。
核心に触れるのは、もう少し旅を続けてからの方がいいかもしれないよね(ヘタレ)
その後、サイエラに導かれるままあらゆる場所を巡った。
この旅は光の戦士たちの足跡を辿る旅でもあるようで、道すがらサイエラは彼らの昔話を聞かせてくれた。
彼女の話は、まるで「知っている」かのように真実味があって……やっぱり不気味だ。
アルバートの仲間たちは、光の戦士──英雄らしくあるために、それぞれ自身の心の一部を捨てた。
ナイルベルトは「追慕の心」を。
レンダ・レイは「自由なる心」を。
ブランデンは「温情の心」を。
ラミットは「伝統の心」を。
そしてシルヴァは、仲間たちの捨て去った心を拾い、密かに自身の力に変えていた。
ラミットの心を盗む頃にはもう、彼女の力は人智を超えるほどにまでなっていたのだ。
仲間たちは、シルヴァの急速な成長を「修行の成果」と考えていたようだけど……本当はそんな真実があっただなんてね
一方でアルバートたちは、自分たちが立ち向かうべき相手の影をおぼろげに掴みかけていた。
ノルヴラントを裏から操り、不安と混沌をばら撒いたその者の名は「影の王」。
光の戦士たちはこれを討ち果たすことを決意し、決戦の地・レイクランドへ向かったのだ。
「影の王」の正体は?
『貴方はもう「影の王」の正体に、
気づいているのではありませんか?』
……これまでにないほど、胸がドキドキしている。
サイエラは、一体どういう意味でこれを聞いているの?
「影の王」の正体は誰なのか、ここまでの話を振り返ればその答えは明白だ。
仲間たちの捨てた心を拾い、自身の力に変えてきた女剣士シルヴァ……
彼女こそが「影の王」の正体ということになるのだろう。
でもサイエラはきっと、そんな単純なことを聞いているわけじゃない気がする。
そして彼女と話している時の、胸がドキドキする感じ……
うには、彼女を「視た」ことがあるからだ。
それを今、ハッキリと思い出してしまった。
「影の王」、そして女剣士シルヴァ。
その正体は恐らく──。
行こう、レイクランドへ。
それがきっと、この旅の終着点だ。
【つづく】
第一世界で「四使徒」すべてを倒した英雄・うに。
いつものように一杯引っかけるつもりで、彷徨う階段亭を訪れたのだが──